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乾癬

乾癬とは?

皮疹を伴う皮膚の病気で、典型的な症状としては赤い紅斑の上に鱗屑(フケのような皮膚の一部)が付着して剥がれ落ちるものです。
乾癬では皮膚のターンオーバーが異常に亢進しているため、次々と生まれる皮膚の細胞が重なって、湿疹やフケのように剥がれ落ちていきます。
正常な皮膚ではターンオーバーは28~40日程度と言われていますが、乾癬の皮膚では4~5日周期に短縮され、通常の10倍の速さで皮膚が作られています。

乾癬の原因とは?

原因は分かっていませんが、免疫のシステムが関与していることが示唆されています。マクロファージや樹状細胞、Th1/Th17細胞などの免疫を司る細胞を介して、免疫学的異常が発生しています。これらは感染やストレスなどの因子で増悪することも分かっています。その他、たばこ、アルコール、脂っこい食事、衣服の刺激、肥満、糖尿病、脂質異常症などの因子が関わっていることが分かっています。

乾癬の種類とは?

  1. 尋常性乾癬
  2. 乾癬性関節炎
  3. 滴状乾癬
  4. 乾癬性紅皮症
  5. 膿疱性乾癬

などの種類があります。
最も多いのは尋常性乾癬で、乾癬の患者さんの8割に上ります。

  1. 尋常性乾癬
    1. 頭皮や髪の生え際、肘や膝などの関節、すねや太もも、お尻などの刺激を受けやすい部位で発症することが多いです。最初は直径数ミリ程度の小さい発疹が現れ、徐々に赤く盛り上がった乾癬特有の湿疹となります。
    2. 尋常性乾癬では湿疹の出ていない部位に刺激を与えると、それがきっかけとなり新たな湿疹が出てしまうことがあります。(ケネブル現象)
    3. このような拡大を防ぐためには、洗髪の際のこすりすぎを避ける、衣服はゆったりと締め付けないようにする、化学繊維やウールを避け綿繊維にする、などを心がけると良い場合があります。
  2. 乾癬性関節炎
    1. 乾癬の患者さんの中には、手足の関節が腫れたり、こわばったりする方がいます。このように乾癬によって関節に炎症が起きた状態を乾癬性関節炎と言い、乾癬の患者さんの15%に合併します。
    2. 他に首や背中がこわばる、足や指の関節が変形して歩きづらくなる、骨盤やアキレス腱や足の裏が痛む、などのいろいろな症状が出ることがありますが、患者さん自身が乾癬との関連に気づきづらく、発見が遅れる原因となります。
    3. できるだけ早く治療をすることが大切ですので、PASE(Psoriatic Arthritics Screening and Evaluation 乾癬性関節炎のスクリーニングと評価)などが考案され、早期発見に活用されています。
  3. 滴状乾癬
    1. 直径0.5~2cmほどの水滴のような湿疹が全身に現れるのが特徴です。小児や若年層に比較的多く、乾癬の患者さんの4%に発症します。風邪や扁桃腺炎が原因となることがあり、感染症が治ると湿疹もおさまります。稀に尋常性乾癬に移行することがあるので注意が必要です。
  4. 乾癬性紅皮症
    1. 尋常性乾癬の症状が全身に広がった状態で、悪寒や発熱、倦怠感を伴うこともあります。乾癬の1%に発症し、乾癬の治療が不十分な場合などに起こるとされています。薬剤や感染症などが原因となる場合もあります。
  5. 膿疱性乾癬
    1. 乾癬のうち、膿の入った袋(膿疱)ができるタイプを膿疱性乾癬と呼びます。この袋には細菌が入っているわけではありませんので、人に感染することはありません。乾癬全般に言えることですが、人から人へ感染する病気ではありませんので、接触したり、お風呂やプールに一緒に入っても問題ありません。

乾癬の治療法とは?

乾癬は慢性に発疹を繰り返すことが多いですが、30~70%の患者さんでは治療により完全に発疹が消失する経験がみられます。また長期にわたって症状がなくなったり、自然消退することもあります。

乾癬の治療法には次の方法があります。

  1. 外用療法(塗り薬)
  2. 光線療法(紫外線照射)
  3. 内服療法(飲み薬)
  4. 生物学的製剤(注射・点滴)
  1. 外用療法(塗り薬)
    1. 乾癬にはステロイドや活性型ビタミンD3剤含有の塗り薬が治療に用いられる事がある。ステロイドは乾癬による皮膚の炎症を鎮めるため、よく用いられるが、連用による副作用には注意が必要となる。
    2. 活性型ビタミンD3剤は表皮細胞の増殖抑制作用があり、乾癬による増殖亢進と拮抗する。また、Th17細胞似必要なIL23を抑制する作用があり、免疫システムを介した作用も示唆されている。
  2. 光線療法(紫外線照射)
    1. 紫外線には免疫を弱める作用があり、乾癬において亢進している免疫システムを抑えることによって治療効果を発揮します。特に皮膚の増殖作用を抑制し、炎症をしずめる紫外線のうち、皮膚に悪影響の少ないものを使います。
    2. 具体的にはUVA(長波長紫外線)を用いるPUVA療法、UVB(中波長紫外線)を用いるUVB療法、ナローバンドUVB療法、エキシマライト療法などがあります。
  3. 内服療法(飲み薬)
    1. 亢進した免疫システムを抑えるため、免疫抑制剤、ビタミンA誘導体、PDE4阻害剤などの内服薬を服用する場合もあります。それぞれ副作用などに注意しながら、他の外用療法などとも併用して行われることが多いです。
  4. 生物学的製剤(注射・点滴)
    1. 塗り薬や飲み薬などの他の治療方法でも効果がなかった場合、生物学的製剤が用いられます。生物学的製剤は皮膚の炎症に関わるサイトカインというタンパク質を抑える薬です。効果は高く関節炎にも効果がありますが、慎重に用いる必要があり、限られた医療機関でのみ行われています。